You know what I'd like to be?
前の記事 ホーム 次の記事

託された事を為す!それが親に血肉を与えられた子の…… 血の役目なんだよッ!!

2013年07月06日09:54  カテゴリ:21世紀の娯楽施設
 『子供が親の願いに呑まれるのは、世の定めなんだよバナージ……
私は間違っていないッ!』

「それは願いなんかじゃない、呪いだ!!」

『同じだ!! 託された事を為す!それが親に血肉を与えられた子の……
血の役目なんだよッ!!
お前のその力も、親の与えたものだろうに!!』


uc2.jpg



 機動戦士ガンダムシリーズの最大の魅力、
それは『主張の対立』にあると思います。

人間ドラマとかなんとかという言葉で一括りにしようとする人もいますが、それは横暴です。
人間は『信念を貫き通す姿』に共感し、感動する。
そして考える。「自分がその立場ならどうしていただろう…?」と。

でも、それらは決して人間すべてが納得できるものとは限らない。
ロールズは無知のベールを通して理性的に判断すれば人間は統一した答えを出すと言った。

けど理想を作っても実現までの過程に目を向けていなかった。
そして統一した意思は生み出せないと多くの人間から指摘されている。

特にアマルティア・センの議論は興味深いので一読の価値あり。




ガンダムシリーズは「ニュータイプ」という言葉を作りました。
作内でそれは人類の革新と言われ、明らかに既存の人類とは違うスーパーな能力を発揮しています。

でも、迷いが尽きない…!!
特にシャアは迷う、迷わなければ、割り切れればもっと偉業を成し遂げられたのに。
そして最後はアムロに『共感を求める』けど分かり合えなかった。

あの時のシャアの「アムロ…なぜそれが分からん?」という言葉は切実だった。
迷いに迷って迷走した挙句の本音だと思う。

ともかく人は分かり合えない、正義は対立する。
だからこそすべての物事にはシンパとアンチが存在する!!


 機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) episode 4「重力の井戸の底で」




これを見て泣いた。泣いたというより心が震えた。
シリーズの原点にして頂点ともいえるプロットだった。
もうこれ以上は想像できない、それぐらい狂気な作品だった。


ジンネマン「何で泣く?」

uc4_016.jpg

バナージ「あんまり、綺麗で……」

ジンネマン「地球が汚染されてるなんて話が、ウソに思えてくるな。
だが、ここいらの空も昔より汚れている。砂漠ももうダカールの喉元まで迫っているらしい。
全て人間のやった事だ。乱開発にコロニー落としや、隕石落とし…。
人が自然から生まれた生き物なら、人が出すゴミや毒も、自然の産物って事になる。
このまま人間が住めなくなったとしても、それはそれで、自然がバランスをとった結果という事だろう。
『自然に慈悲なんてモノはない』
昔の人間はソイツを知っていた……他ならぬ、自然の産物の本能としてな……」

バナージ「だから、生きる為に文明を造り、社会を造って身を守った……」

uc4_014.jpg

ジンネマン「ああ。だがソイツが複雑になりすぎて、
いつの間にか人はそのシステムを維持する為に生きなきゃならなくなった。
あげく、生きる事を難しくしちまって、その本末転倒から脱する為に、宇宙へ新天地を求めた……
そこでまた別のシステムってヤツが出来上がった。
宇宙に捨てられた者、スペースノイドに希望を与え、生きる指針を示す為の必然。それがジオンだ。
地球に残った古い体制はソイツを否定した。出自の違うシステム同士が相容れることは無いからな……
どちらかがどちらかを屈服させようとするだけだ」

バナージ「でも、連邦っていう統一政府があって、
宇宙に百億の人が住んでる世界なんて、きっと昔は夢物語でしたよね。
そういう可能性も、人にはあるんじゃないですか?
2つの考え方が、いつか1つになる事だって」

ジンネマン「みんなが平等に束ねられた訳じゃない。
弾かれて潰された連中の怨念は今でもこの地球にへばりついている」

uc4_028.jpg


バナージ「悲しい事です、それは……」

ジンネマン「ああ、悲しいな……
悲しくなくする為に生きているはずなのに、何でだろうな……バナージ……」

(バナージは人を想って涙を流す…)

バナージ「分かってますよ……!
男が人前で泣くんじゃないって言うんでしょ?」

uc4_kizi03.jpg


ジンネマン「いや……人を想って流す涙は別だ。
何があっても泣かないなんてヤツを、俺は信用しない」

http://kbdpage.blog82.fc2.com/blog-entry-293.html


バナージとジンネマンの語らいは心に染みた。
心が揺さぶられた。

なんでだろう。
例えば、ジンネマンがそのセリフを感情に任せて叫んだなら衝突が起きたかもしれない。
「それは違う!」って。

でも彼は、自分の培ってきた観念について私情を挟まず簡潔に語った!
これは凄いことだ。私情を挟まないところに潔さを感じる。

そして語りの最後に「だからこうだろ!」という言い切りをしていないところがまた素敵だ。
バナージに対して問いかけをすることで、
「あとはお前の純粋な答えに身を委ねろ」という意図を感じる。
これこそが親子の会話だと多くの視聴者が感じた要因だと思う。


 冒頭に戻って、ロニ・ガーベイはどうだろう…。

『託された事を為す!それが親に血肉を与えられた子の……
血の役目なんだよッ!!』


このセリフは本当に重い。

親は選べない!!誰にも選ぶことができない…!!!

子どもは親の背を見て育つ。
ロニは信仰を持っていたそうだ。確実に親の影響だろう(宗教が悪いってわけじゃない)。
両親が殺された背景があるけど、それを見て「託された」はどうもおかしい。

もしかしたら背景にはハンムラビ法典に似たような教育があったのかもしれない。

そしてロニはバナージの言葉を受けて、
『バナージ…、悲しいね……』と最期に囁く。

132111284484013123985_R0013719.jpg


ロニは「憎しみの連鎖は何も生まない」ということを分かってることが伺える。
けど、一度始めた暴走が信念に摩り替わってしまい、もう止められない。

簡単に言えば、戦争を終えた兵士が居場所を失って傭兵になるのと似ている。
五飛、お前だ。


 ジンネマンは息子に「答えを委ねた」のに対して、ロニの両親は娘に「答えを託した」

だからこそ、ジンネマンとロニの両親。
その息子(バナージ)と娘(ロニ)の対比が際立った。
ジンネマンと語らいとロニの想いに心が揺さぶられた。

機動戦士ガンダムUC episode 4「重力の井戸の底で」
ガンダムに興味が無くとも、これは見る価値があると思います。ぜひ!


 ではまた、興味と機会があればお逢いしましょう。
前の記事 ホーム 次の記事